半世紀前の英国に見る 
07/4/24, 09:57 PM - 歴史を見る


Rockers

50年代後半〜60年代前半にイギリスで生まれた若者文化。
アメリカの50'sのスタイルを受け継ぎ、Rock 'n' RollやRockabillyなどの音楽を好んで聴いていた。特にエルビス・プレスリーに強く影響を受けている。
スタイルはライダースというレザージャケットにレザーパンツまたはジーンズ、髪はグリースで固めたグリーセット(リーゼント)。TRIUMPH、BSA、Nortonなどにまたがり、カフェなどに集まってJukeBoxでロックンロールを楽しんでいた。
ロッカーズの聖地として、イギリスのエースカフェがある。
24時間営業であるエースカフェに集まったRockers達が、JukeBoxの曲と同時にスタートし、曲が終わるまでにカフェに戻ってくるという公道レースをカスタムしたバイクで行っていたことから彼らのバイクはカフェレーサーと呼ばれていた。

60年代前半彼らに敵対勢力が現れた。
彼らよりもっとクールで知的であろうとする集団「Mods」である。
彼らのスタイルは、一見トラッド風を着崩した洒落た装いで、Vespaのスクーターをこよなく愛し、音楽はアメリカのレアな黒人音楽、R&Bやソウル・ミュージック、ジャマイカのスカ、ブルービートなどを好んだ。
。また彼らはドラッグを遊びの道具として取り入れた。使用するドラッグはアップ系と決まっていてハート形をした外見だけは可愛い(パープルハーツ)と呼ばれるものなどを服用していた、昼間は真面目な少年少女の仮面をかぶり、夜はクラブで熱狂の一夜を過ごす。

これらの若者文化の背景は
1960年にイギリスで徴兵制度が廃止された。
これにより18歳からの兵役が無くなったことで、
働き始めた若者が増え、当然ながら遊びを求め出す。

この二つの勢力はのちにイギリスのブライトンにて歴史的抗争を繰り広げる。
映画「さらば青春の光」というのがあるのだが、この時代この争いを描いている。
(モッズよりの制作であり見ていて気分が悪かったのを覚えている。)

私はRockersに魅せられた数少ない若者の一人だった。
Rockersの格好などを真似して、ライダースにジーンズ、エンジニアブーツ、ヘアースタイルもグリーセットに決め込み、バイクもTRIUMPHに似せてみたりした。
駅前でステレオにRock 'n' Rollを流しツイストを踊って見せた事もあった。
しかし非常に残念なことではあるが、日本人には全く似合わない。特に私には!
Rockersの文化を学んだ私は、自分が恥ずかしくなり、バイクを降りた。

イギリスにはすばらしい文化がたくさんある。時代にあわない文化は時と共に変貌を遂げる。
今この時点でも後の世代に評価される文化が生まれているのは確かだろう。
しかしながら、Rockersほど私を魅了した若者文化は世界の歴史をさかのぼってもこれを超えるものはない。
叶う事なら1950年代のイギリスへ行ってみたいものだ。