07/4/10, 07:02 PM - マリン
Riva Aquarama 1962年製
芸術的な(Mahogany)マホガニーの木目を生かした(Piano Finish)ピアノフィニッシュと呼ばれる鏡のような艇体、当時驚異的なスピード等もあり世界の富豪に愛された。
驚異的とは当時のものであるが、今でも40ノットは軽くでるパワーボートである。
RIVAの歴史は古く、160年以上前の1842年にまでさかのぼる。
北イタリアの(Sarnico)サルニコ (Lago d'Iseo)イゼオ湖の港町で(Pietro Riva)ピエトロ・リバという人物によって、格式あるこのヨットブランドの歴史が始まった。
当時のイタリアはナポレオンが失脚してから分裂状態にあり過酷な時代背景であった。
現在でもOpera、Athenaなどの大型クルーザーからAquaramaの後継モデルであるAquariva 、Rivaramaなどがあり、当時から海のフェラーリの異名をとるなど、世界一のヨットブランドを確立している。
私が彼(Riva)に出会ったのは世界一のマリーナに勤務していた4年前の夏のことだった。
乗り手はそれに見合わない中年の若僧であった。『センスだけは認めるがお前にRivaの舵を握る資格はない』見るたび私はそう思っていた。
そのRivaにはボトムが木でできている為、船底塗料が塗られていた。
海に浮かべるためには仕方のない事だが出来る事なら船底塗料ははがしてやりたい
そのRivaが稼働していたのは年一、二回くらいのものであった。
【ひとたびその芸術品が海に浮かぶと、何千万円、何憶円の周りの船でさえそれに圧倒され、その輝きを失う
エンジンがかかる
勇ましいエンジン音と空中排気のマフラーの音がレトロチックな半世紀前のイタリアを思い浮かばせる
ゆっくりと港を出航する
静かな海面にRivaの幾何学模様の引き波が立つ
周りの船が左右に揺れる
まるで皇帝陛下を送り出す王国旗を振る民衆のように見える
航路を過ぎ、外海にでる
勇敢なエンジン音はしばらく港にいる者達の記憶に残っている
港には静けさが戻り、何事もなかったように時が過ぎる
夕暮れ時に夕日に照らされたRivaが港に戻ってくる
潮を浴びた船体は白くくすんでいる
壮大な滑走劇を想像させる
陸地で磨かれ艶を取り戻す
今日もまた芸術品が展示場に飾られる】
いつかお前に乗り
気のすむまで大海原を滑走したい
私はあの光景を思い出すたび
世界一のボートに儚い夢を抱く
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